他にはかかないのに、顔汗がひどい・・・ベタベタして気持ち悪いし、何より人目が気になる。
そんな困った顔汗を抑える方法はあるのでしょうか?もし病気だとしたら?顔汗の治療法もご紹介します。
顔汗でベタベタするのが気になる!どうして汗をかくの?
汗は誰でもかくものですが、手足やワキ、顔汗など部分的な汗が異常に多い・・・と悩む人は多いようです。
特に顔は人の視線が集中するから気になるし、顔汗のせいで仕事や生活に支障が出たり、女性はメイク崩れも深刻な悩み。
かかない人には辛さが伝わりにくい、顔汗の原因って何なのでしょうか。
汗をかくメカニズム
汗をかくメカニズムには大きく2つの要因があります。
体温が上昇しすぎると脳細胞にダメージが出るため、人間の身体は汗をかくことで熱を逃し、体温調節を行います。
緊張したり、興奮したり、痛みを感じた時にかく汗で、いわゆるあぶら汗や冷や汗と呼ばれるものです。
顔や手のひら、足の裏、脇の下などにかくのも特徴です。
緊張して汗が出て、「あ、汗をかいてきちゃった」とそれがまた緊張を呼び起こしさらに汗が出るという悪循環にハマってしまうこともあるようです。
では、特に顔に汗をかく原因というのはあるのでしょうか。
1.ストレスや生活習慣の乱れ
人間は本来であれば交感神経と副交感神経がうまくバランスをとり、体温調節の機能をコントロールしています。
それが寝不足などで生活習慣が乱れたり、ストレスを抱えることで汗をコントロールする自律神経が乱れ、交感神経が優位になり、顔汗が止まらなくなります。
2.喫煙
タバコを吸うことによって摂取するニコチンは、体内に入ると中枢神経を刺激し(覚醒作用)、顔汗など汗の量が増えます。
コーヒーにもこの覚醒作用があるので、飲み過ぎには注意しましょう。
3.食べ物による発汗
辛いものや酸っぱいもの、肉類などを大量に食べた時にも汗は顔面を中心に一気に出ます。 これらは急激に上がった後頭部の温度を下げ、脳を保護しようとする働きのようです。
4.運動不足
体温調節のための汗を分泌しているのは、「エクリン腺」という汗腺です。
運動不足やエアコンの効いた部屋にずっとこもりっきりになって熱の発生が極端に少ない生活をしていると、汗を分泌する機会が少なくなることから、心臓から離れていて冷えやすい下半身や腕などの汗腺は衰え、休眠状態に入ってしまいます。すると、体温調節をする際には普段動きの多い顔などの汗腺から出る汗が増えるのです。
顔汗がベタベタするのはなぜ?
顔汗をかく人の悩みの一つに、「顔がべたついて気になる」というものがあります。他の汗とは違い、ベタベタする汗が出るのも顔汗の特徴のようです。
身体が汗を作るしくみをおおまかに説明すると、次のようになります。
体温が上昇すると、汗腺は血液から赤血球、白血球、血小板を除いた「血漿(けっしょう)」という液体を汗として汲み出します。
しかしこの血漿には身体に必要なミネラルも含まれており、このまま体外に排出してしまうとミネラル不足に陥ってしまいます。
そのため汗腺は血漿の中から身体に必要なミネラルを再吸収して血液に戻し、水分と塩分だけを汗として排出します。
このように、再吸収がきちんと行われた汗は「サラサラ」した水のようなものなのですが、何らかの理由で汗腺が衰え、再吸収がうまく行われないとミネラルが汗に混じり、べたべたした汗になってしまうのです。
先に述べた緊張した時に起こる「精神性発汗」は顔汗の主な原因に挙げられますが、突発的に発汗が行われることからミネラルの再吸収が間に合わず、べたべたした汗になるのです。
また、ある調査によると人は「3歳までに育った環境によって、活動する汗腺と衰えてしまう汗腺に分かれる」ことがわかってきました。
汗腺の数は、生まれた時はみな同じなのですが、3歳までに暑い所で育ったり、よく運動して汗をかく生活をしていた場合、成長してからも活発に活動する汗腺が多くなるのです。
逆に寒い所で育ったり運動をあまりしなかった場合は汗腺は衰え、汗をかきにくくなるのだそう。
ちなみにロシアとフィリピンの人で汗腺の数を比較すると、およそ100万個くらい違いがあったそうです。
顔汗を抑える方法は?
汗をかくのは自然なことですが、人前に出るのが嫌になるほどの「顔汗」は何とかして止めたいですよね。
今すぐ実践できる、顔汗を止める方法を調べてみました。
顔汗を抑えたい時に試してみよう
1.首周辺を冷やす
首の後ろやワキの下には太い血管が密集しており、ここを冷やすと効率よく全身のクールダウンができます。
保冷剤を準備したり、外出先なら冷たいペットボトルも使えます。
2.皮膚圧反射を利用する
京都の舞妓さんは、暑い夏でも着物で汗もかかず涼し気に歩いていますね。
これは体の一部を圧迫するとその周辺は汗をかかなくなるという「皮膚圧反射」という体の反応を利用しているもので、脇の下あたりを帯でぎゅっと締めることでそこから上の汗を止めているのです。
ただし、体には汗の量を一定に保とうとする働きがあるため、他の圧迫されていない場所で汗の量が増えます。
3.汗を止めるツボ
手のひらには汗を止めるツボが存在します。緊張した時や顔汗を感じた時、これらのツボを指で押してみましょう。
【ごけい】
握りこぶしを作った時に少し飛び出ている、小指の付け根あたりの部分。
【いんげき】
小指側の手首から指一本分下の部分。
4.腹式呼吸
緊張など、精神的なストレスを感じると自律神経が乱れ、顔汗をかきやすくなります。
ひじを曲げ、そのまま外回りに大きく回しながら腹式呼吸(鼻から吸って口から吐く)をしてみましょう。緊張をほぐすのに役立ちます。
5.緊張に負けない心を作る
緊張しやすい!という人は、日頃から気持ちを大きく保てるような言葉を自分にかけていると暗示的な効果があり、緊張しても顔汗をかきにくくなっていきます。
「人にどう見られても気にしない、どうでもいい」といった言葉を自分にかけることで、気持ちが軽くなりますよ。
ネットでは顔用の制汗剤も多く販売されています。ジェル、スプレー、パウダータイプなど種類も豊富。
また顔汗をさっと拭きとれる顔用の汗拭きシートもあるので、気になる方は携帯しておくと便利です。
ストレスを解消しよう!
ストレスは自律神経の乱れを生み、顔汗の原因になります。
普段からストレスを抱え込み過ぎない生活を心がけましょう!
◆ぬるめ(38度くらい)のお湯に20分程度の半身浴で、身体をゆっくり温める
◆目覚めた時や就寝前に布団の上でストレッチ
◆発酵食品、食物繊維の豊富な食材を積極的にとる
◆自分の趣味を見つけ、取り組む
顔汗は何かの病気?抑えるにはどんな治療があるの?
顔汗の原因は様々ですが、まれに何かの病気が原因になっている可能性もあります。
思い当たることがあれば早めに病院を受診しましょう。
顔汗の原因となりうる病気
◆糖尿病
末梢神経の働きが鈍る事で発汗異常が起き、大量に顔汗をかいてしまうことも。
◆自律神経失調症
自律神経による汗のコントロールが上手くいかず、必要以上の顔汗をかくようになる事があります。
◆更年期障害
女性ホルモンの分泌が低下し、自律神経のバランスが乱れてしまうもの。突然、顔に大量の汗をかくという症状がおこることがあります。
◆顔面多汗症
必要がないのに大量に汗をかき、日常生活に支障が出るのが「多汗症」。特に、わきの下や、手のひら、足の裏、顔の周りなどで異常に汗をかく病気です。
常に顔が湿っていたり、緊張時に汗がしたたり落ちるような場合は「顔面多汗症」かもしれません。
多汗症の人は、体の状態や季節を問わず、交感神経の反応が強く過敏になっています。なぜ交感神経の反応が強くなるのかは人それぞれで、ストレス性のもの、遺伝性のもの、ホルモンバランスの乱れなど様々です。
多汗症の治療
病院に行くのは恥ずかしい、どんな治療を行うのかわからず不安・・・という方のために、様々な治療法をご紹介します。
多汗症の原因は様々で、受診する病院の治療方針によっても処方される薬は変わりますが、直接的に汗を抑えるこういった薬を処方して経過を見るようです。
飲み薬→臭化プロバンテリン「プロバンサイン」
塗り薬→塩化アルミニウム・塩化ベンザルコニウム液
顔の肌は敏感で、女性は化粧水や乳液、お化粧品との兼ね合いもありますので、使用法や用量をよく守って使うようにしましょう。
脇の下辺りから行う胸腔鏡手術で、10分程度で済みます。傷口からカメラのついた細い管を入れ、モニター画面を見ながら医師が背骨の近くにある交感神経の束を切断します。そうすることでわきの下や、首、顔まわり、手のひらの汗も少なくなります。
副作用として、汗が出なくなることにより体温が下がりにくく、顔や首の周りが暑いと感じる、胸、胴、大腿部からの汗が増える(代償性発汗)などがあります。
根本的な治療になりますが、多汗症のリスクや悩みと副作用のどちらをとるかなど、医師とよく相談の上、慎重に検討しましょう。
食中毒の原因となる「ボツリヌス菌」を注入することで、筋肉や神経の働きがマヒし、結果として交感神経が発汗を促す命令が伝達されなくなり、発汗量が減るという仕組みです。
効果はすぐに表れますが、デメリットとして副作用がある、保険がきかず治療費が高額、効果は一定期間のみという点が挙げられます。
漢方薬局に症状を相談し、合う薬を処方してもらいます。
原因によって処方される薬が異なり(精神的なこと、自律神経の異常、脂っこい食事が多い、肥満など)ある一定期間は服用を続けないと効果が表れないことも。
・防已黄耆湯→肥満体質によって多汗になっている方に
・桂枝加黄耆湯→虚弱で多汗により皮膚の締りが悪くなっている人に
・柴胡桂枝乾姜湯→精神性の多汗症の方に
多汗症と言っても原因は様々。また先にも述べた通り、多汗症とは別の病気が原因で顔汗をかくようになっている可能性もあり、その場合はその病気に対する治療が必要になります。
不安があれば一度病院を受診し、医師の診断を仰いだ方が安心なのではないでしょうか。
まとめ
自分の顔汗の原因は何かを知って、正しい改善法を!病気かな?と思ったら早めにお医者さんに相談することも大切。