2015年4月に全国に先駆けて兵庫県は自転車利用者の賠償責任保険の加入を義務化したことが話題になりました。
そして次に義務化の条例が施行されたのは日本一自転車のマナーが悪く、事故が多いとされる大阪府。2016年7月に新しい自転車条例が大阪府で施行され、自転車保険への加入が義務化されました。
まだまだ全国的には導入自治体の少ない自転車保険ですが義務化となると話は別です。保険に入っていない場合の罰則や家計の負担となる保険料も気になりますね。
今回は大阪府で導入された自転車保険について罰則や保険料、そして自転車保険の代わりになるといわれている個人賠償責任保険について詳しく解説していきましょう。
自転車保険が義務化された大阪・罰則はあるの?
義務化されるとなると一番気になるのは、保険に入っていない場合の罰則。
大阪府のホームページによると、大阪府自転車条例では自転車保険に入っていない場合の罰則は実は設けられていません。つまりは自転車保険に入っていないからといって極端な話逮捕されたり罰金があるということはないのです。
なぜ罰則が無いの?
罰則を設けていない理由として、大阪府は保険の加入者を特定することが困難であるからであると説明しています。
自転車事故を起こしてしまったときに適用される保険としては、「自転車保険」と呼ばれる保険商品のほかにも火災保険、傷害保険の特約で自転車事故に関する付帯事項がついていたり、または本人ではなく家族が保険に入っている場合など様々です。
また、会社などの団体で加入している場合やクレジットカードに付帯している場合もありますので、なかなかその場で「保険に入っているかどうか」を確認するのは難しいですね。
なぜ自転車保険は加入が義務化されたの?
「罰則が無い」と言われると義務ではないというイメージで保険に入らない方もいるでしょう。しかしながら、自転車は事故の加害者にも被害者にも成りえます。
もちろん加害者になると高額な賠償責任を負うことになり、未成年であっても関係ありません。
なんと過去には小学5年生の子供が乗る自転車が起こした人身事故で母親に対して9,520万円の賠償命令を出したという判決もあります。
大阪府では罰則はなくとも、加害者の経済的な負担の軽減と、被害者の保護を目的として自転車保険の加入を条例で義務としているのです。
自転車事故の高額な損害賠償金を払えますか?
ここで自転車事故の高額な損害賠償金の例をご紹介していきましょう。
9,520万円の賠償命令!加害者は小学生
記憶に新しいのが神戸地裁が出した平成25年の判決。小学校5年生の男子児童が運転するマウンテンバイクに歩いていた67歳の女性が跳ねられて頭の骨を折ってしまうという重傷を負った交通事故でした。
跳ねられてしまった女性はその後寝たきりになってしまい、女性の家族と保険会社が男子児童の母親を相手に損害賠償請求を起こし、結果母親の監督責任は認められ高額な賠償を請求という判決が下りました。
賠償額はなんと1億円近い9,520万円!とても一般人が払える金額ではありませんね。
携帯電話操作仲の事故!加害者は女子高生
最近でも自転車走行中にもスマートフォン片手に画面を見ながら危ない運転をされている方も街中で見かけます。
平成17年に起こった事故は夜に無灯火で自転車を運転しながら携帯電話を操作していた女子高生が歩行中の54歳の看護師の女性と衝突してしまったというもの。看護師の女性は事故の怪我で歩行が困難となり職も失いました。
女子高生に対しては約5,000万円の賠償命令が下される判決となりましたが、歩行が困難となってしまった女性のこれからの人生を考えると賠償金も安いのか高いのか考えてしまいますね。
自転車保険が義務化された大阪・保険料の相場は?
自転車を運転している以上、事故を起こしてしまう可能性もしくは事故にあってしまう可能性は0ではありません。自分や家族のため、そして被害者のためにも自転車保険には加入すべきですが、保険というと「保険料」の支払いも気になりますね。入るべき保険の種類や相場はいくらぐらいなのでしょうか。
自転車保険の補償内容の内訳
自転車保険で補償される内容は大きく2つあります。
- ①賠償責任補償・・・自分が事故を起こしてしまい加害者になった場合、被害者の方への賠償金支払いに関する補償です。保険会社によっては家族全員を補償するタイプもありますね。
- ②死亡、入院、手術補償・・・自分が被害者もしくは被害にあったときの死亡やケガへの補償も大事です。交通事故によるケガ全般に対応していることが多く自転車事故以外でも保険が適用されるものもありますが、被保険者である本人のみ対象の場合もありますので保険の内容をよく確認してみましょう
自転車保険の保険料相場
自転車保険は年間支払いの商品が多く月々に換算すると数百円程度の保険料のものがほとんどです。保険会社ごとに例をあげてみてみましょう。
DeNA(総合保険センター)自転車の責任保険
基本コースの保険料は1ヶ月で300円(年間3,600円)で賠償責任補償の支払い限度額は1億円のプランが人気です。また、事故を起こしてしまったときの相手との示談交渉のサービスもついていますので安心ですね。
参考サイト:DeNA(総合保険センター)
三井住友海上の自転車向け保険
コンビニエンスストア・セブンイレブンで加入できる保険として人気の商品です。こちらも月額が333円(年間3,990円)で賠償責任補償と自身の死亡やケガの場合の補償もついています。賠償責任補償の支払い限度額は最高で3億円、示談交渉のサービスもついておりネットで事前予約すればコンビニですぐに加入できることが特徴です。
参考サイト:三井住友海上の自転車向け保険
自転車保険が義務化!既に加入しているかもしれない個人賠償責任保険って?
自転車保険の保険料相場について確認しましたが、実は自転車保険は新たに入らずとも現在ご自身もしくは家族で加入している保険に自転車保険と同等の補償内容がついていることがありますので注意しましょう。
他人様に損害を与えてしまったときに生ずる個人賠償責任を補償する保険の賠償責任補償は一般的には
- 「個人賠償責任保険」といい、火災保険等の保険商品の特約として付いている場合があります。
- 日常生活でなにげなく使っているクレジットカードも申し込み時に一緒に個人賠償責任保険をつけていたりします
- 「自動車保険」の内容によっては自動車の運転時以外の事故でも補償の対象になっている特約があります
自転車保険は他の保険商品の内容と重複がしやすいという特徴がありますので、現在保険に加入されている方は特に加入内容を確認する必要がありそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。自動車だけでなく自転車も走る凶器と言われるように、万が一事故を起こしてしまうと自分だけでなく相手に多大な損害を与えるだけでなく、お互いの人生を変えてしまいます。
事故を起こさないように常にマナーを守り気配りをした運転をすることが一番大事です。
そして、大阪や兵庫では義務化された自転車保険ですが、義務とされていなくても被害者になってしまった方、自分や家族のために自転車保険や個人賠償責任保険には加入することが必要ではないでしょうか。(yui)