さつま芋は全国各地に地芋があって秋には誰もが堪能できる手軽な食材です。
サツマイモ料理には「焼き芋」があるが、実はサツマイモの消費量はここ数年ヨコバイで1955年がピークで年間700万トンあったのに、今では100万トンまで減少しているのです。
生食用が全体の五割に対して残りは焼酎・デンプン・加工食品となり、焼き芋などでサツマイモは人気があるようであまり消費されていません。
こんな「さつま芋」を農家では敬遠がちですが、全国を見るとガッチリさつま芋を使ってブランド化しなくても稼いでいる農家さん達がいるのです。
しかも、地野菜としてのさつま芋のブランド化ではなくて、別の方法で有名になっているのです。
焼き芋に特化した「さつま芋」とは
いま茨城のさつま芋が注目されている。
さつま芋での「焼き芋」で茨城産はどうなのか?
鹿児島のサツマイモや徳島の「鳴門金時」などは有名ですが・・茨木ってどうなの?
茨城県の行方(なめかた)市の取り組み。
あまり聞いたことがないので疑問に感じたのだが、実は茨木は焼き芋のメッカ、全国で初めてスーパーなどで「焼き芋を販売」したのが行方市なのです。
あまり聞いたことがないのですが、良いサツマイモが出来ることで有名で全国でさつま芋生産量は2位を占める。なかでも行方は良質のさつま芋の生産地の一つです。
焼き芋に特化しているさつま芋の収穫法と保管は
ここ行方では特に特別な品種のさつま芋は栽培していない。でもここがポイント!
そして、さつま芋は「小ぶりに」栽培している。通常より植え付けの間隔を狭くして栽培工夫している
いも掘り機の秘密
収穫では大きいもと小さい芋を分けている
・「大きい芋」⇒加工用
・「小さい芋」⇒焼き芋用
驚きの「いも」の治療とは
収穫してすぐに出荷はせずに「貯蔵して」熟成させている。
時間の経過とともに「糖分が増す」ので、美味しくなる。カボチャなどの根菜類も同じようなことが言えますね。
一年間保存しているものもあり、驚きのさつま芋保存法です。
食感も良く、甘みと旨味が増すように室温と湿度を調整し32~33度にして湿度を90%以上これを現地では「さつま芋の治療」と呼んでいる。
収穫時にさつま芋の表面の傷を癒すために治療するらしい。コルク層と言って四日ほどで傷の表面が再生し、その後室温を13度まで落として貯蔵する。
さつま芋はこの治療で病気になりにくく、傷も治ることが分かった。
なかなか隠れた管理法で、私たち一般人はこんなことまでしていたなんて思いもしなかったですね。
アドバイス家庭でもできるサツマイモの保管法
サツマイモはできれば「13度から15度」までで保管すること、決して冷蔵庫にはいれないでください。
冷蔵庫の温度帯ではサツマイモは腐ります。
ナマのサツマイモは新聞紙で1つずつ包んで冷暗所でダンボールなどに保管すれば意外と長持ちします。
驚きの「焼き芋」ノウハウは消費者のことを考えている。
品質の良い日本の食材は有名ですが、何処にでもあるサツマイモを茨城の行方では美味しく食べるノウハウを使って更に付加価値を上げてきています。
焼き芋をターゲットにしたニッチな世界ですが、誰もが気に留めなかったところに目をつけて特化ししたノウハウはすべて消費者のためだったのですね。
さつま芋は調理方法で変わる
さつま芋での料理では甘さが様々で、料理法によって違いを確認できる
・「煮たもの」⇒甘さ高い
・「蒸したもの」⇒甘さ高い
・「焼いたもの・揚げたもの」⇒甘さ最も高い
さつま芋の甘さには「麦芽糖」の量が関係している。さつま芋の含まれた澱粉とβアミラーゼが加熱によって「麦芽糖」を生み出す。
「麦芽糖」って酵素なのですが、よく働くのが70度前後で長時間維持すれば良いのです、それ以上でもそれ以下でも働きが悪くなる。
その70度前後が「焼き芋」料理の温度帯で遠赤外線効果でじっくりと加熱される時、最も「麦芽糖」の酵素が活発になり甘みが強くなるのです。
貯蔵期間に合わせて「うまく焼く方法」を編み出した。
二年の歳月により「うまく焼ける時間」を見つけた。
サツマイモは焼きすぎると旨みが落ち、焼き足りなければ甘みが落ちる。
・「紅こがね」(一例)
9月から11月⇒「45分」
12月から3月⇒「50分」
4月から8月⇒「30分」
数値化して立証した。
アドバイス家庭でも出来る「焼き芋」の調理方法
オーブンレンジでも焼き芋はできますが、でも、「とにかく!おいしい焼きいもが食べたい」という人は、ヤカンと小石を使って石焼きいもを作る方法があります。
直火にかけるのでヤカンは使い古しのダメになったものを使い、小石をヤカンの中に敷きつめ、その上にさつまいもを乗せて火にかけます。
弱火で40分程焼けば本格的な石焼きいもが出来上がります。
※できるだけ調理中は離れないで、安全のために様子を見てください。
味のばらつきを数値化
さつま芋の澱粉の量は農家の畑によってバラつきがある。
畑ごとにより品質が違うので、畑ごとの品質のバラつきを数値化し、澱粉の多いさつま芋畑の芋を最初に出荷し、少ないものは熟成させて「澱粉質」を増やすことに成功。
いまでは「紅優甘(ベニユウカ)」「紅まさり」「紅こがね」の品質の数値化に成功し、一年中美味しい焼き芋を提供できるようになった。
どれも季節によって出荷スケジュールが違い、今では行方のさつま芋の栽培量は2.5倍にもなっているらしい。
【まとめ】「焼き芋」で有名になった茨城・行方
地元の地芋での「さつま芋」ではない、行方(なめかた)のさつま芋だけど「旨い、焼き芋」を提供できるノウハウを持って「さつま芋の貯蔵法」「さつま芋の調理法」「さつま芋の味のばらつきの管理」などの数値化を独自に見つけ出し提供することで全国に浸透しつつある。
地方での海産物でのブランド化や地野菜の品種改良でのブランド化も大切だけど「焼き芋」に特化したノウハウの提供で全国へ発信して成功しているケースが実に興味深く、こういった食べる側に着目すればニッチな世界だけど世間に着目されることに興味がひかれた。
このようなどちらかといえば「ニッチ」なキーワードだけど、独自のノウハウ提供で成功した例は行方に限らずブランド化しにくい悩みをお持ちの地方生産者さんには、今後の参考事例として覚えておくことも重要です。
関連サイト:完熟!焼き芋 送料無料