初節句を迎える女の子がいるご家庭では、雛人形をいつ飾るか悩んでいませんか?
ママも自分の子供時代は親任せで、詳しいことはよく知らなかったりするものです。
雛人形を飾るくらいはわかるけど、他にお祝いには何をしたらいいのか。おじいちゃんおばあちゃんも招いてお祝いするべき?
赤ちゃんのために何かしたい!という手作り派ママに人気の「つるし雛」についても調べてみました!
初節句を迎える女の子に、雛人形はいつ飾るもの?
日本では古くから季節の変わり目に、邪気を払うため行われてきた節句。中でも子供の健やかな成長を願って行われるのが端午の節句(五月五日)と桃の節句(三月三日)です。
そして生まれて初めて迎える節句を「初節句」といいます。
娘の幸せを祈って準備する雛人形。いつから出すのが正しいのか、調べてみました。
ひな祭りの雛人形はいつから出すもの?
雛人形を飾るのに、決まった「指定日」というものはありません。
地域や各家庭のしきたりによって違いがありますが、一般的には
- ◆立春(2月4日)を過ぎてから
- ◆桃の節句の1週間前までに
この間に飾るようにすれば間違いはないようです。
初節句を迎える女の子はいつ飾るの
お正月明け(1月7日)には出すという話も聞きます。
、初めて購入したお雛様をお披露目するという意味で早めに飾ってもよいそうで、初節句のご家庭は、雛人形は買ってくれた祖父母や人形店から届くことが多いと思います。届いたらすぐに封を切り、飾るようにしましょう。
大安などのお日柄の良い時を選んで届くようにしてもらう、という人も多いと思います。ただ、仏滅や大安というのは本来「冠婚葬祭」において考慮されるものなので、節句には直接関係あるわけではありません。
それぞれのご家庭で日程的な事情もあるでしょうから、それほどこだわらなくてもよいかと思います。普段から縁起を担ぐ方で、どうしても気になる場合は仏滅を避けるなどしましょう。
「雨水」の日に飾ると、良縁に恵まれる
二十四節気の「雨水」の日に飾ると、良縁に恵まれるという説があります。
雨水(うすい)とは、春が近づいて雪が雨に変わる頃という意味。昔はこの雨水の頃を境に、農家では冬の間休んでいた農作業の準備を始めたのだそう。
※立春から2週間たったころ
- なぜ雨水に雛人形を飾るとよいとされるのでしょうか?
- 雪解け水が流れる川は、昔、女性たちが炊事や洗濯のために集まる場所でした。そして水は、生命を支えて、育てる根源ということから信仰の対象とされてきました。
日本書紀に出てくる女神、罔象女神(みつはのめのかみ)は水の神であり、地域によっては子授けや安産の神として崇められていることから、水=母神と考えられていたそうです。
そのため、水と深い関わりのある雨水の日に雛人形を飾ると良縁に恵まれる、ご利益があるといわれているのだそう。 - 赤=桃の花の色、厄払い、解毒作用(色付けに使われるクチナシの効果)
- 白=残雪、純潔、清浄
- 緑=草木が芽吹く様子、健康、長寿
- 上中段に飛ぶもの、山のもの、木になる(咲く)もの
- 中下段に水中のもの、動物、人形
- 最下段は這い人形、柳川まり
出す時期について、ひとつ注意しなければいけないのは「一夜飾り」にしない、ということ。忙しくて気づいたら雛祭りの前日だった、と慌てて飾るのは縁起が悪いとされています。
こういった季節の行事のものをギリギリになって出すのはだらしがない、とする戒めでしょうか。
1月生まれ、2月生まれの初節句はいつ?
初節句で悩むのが、1月や2月生まれの女の子を持つおうちではないでしょうか。
生まれて初めて迎える節句、という意味では生後1~2か月で迎えることになります。お宮参り(女の子は生後32日目)もあるし、ママの体調もまだまだ落ち着かず、新生児のお世話で正直雛人形を飾る余裕はない・・・という家庭も多いかと思います。
ですので、翌年の3月で大丈夫。
もちろん、そのご家庭の事情によって決めて構いません。その年の3月3日に行うことにして、なるべく負担をかけないように簡素にする家もあります。
お雛様はおさがりでも大丈夫?
おじいちゃん、おばあちゃんが新しい物を買ってくれると言うけど、自分が飾っていたお雛様も実家にあって思い入れがある。
お雛様をおさがりで使ってはいけないのか?よく議論されるところです。
筆者なりにいろいろと調べてみましたが、男の子の兜飾りなども含め、節句飾りをおさがりで使うことについては、地域やその家庭によってもしきたりが異なり、全国統一のルールはないようです。
よく言われるのは、雛人形は子供に降りかかる厄を身代わりとなって受けてくれるお守り的な役割を持つため、女の子一人につきひと飾りとするべき、という説。
おさがりで使うと、受けた厄をも引き継いでしまうので良くないというのです。
現在のように医療が発達していなかった時代、子供が事故や病気で亡くなることは珍しくありませんでした。
子供に降りかかる災いを少しでも減らしたいという親心として、雛人形を身代わりにしたのですね。
この考え方からすると、お雛様はその持ち主の女の子が大人になり、幸せな結婚をした時点で役目を終えているのです。
一方で、その家に代々伝わる雛人形を受け継いで飾っていて、年数を経て痛んでしまったものは新しく買い足し、古いものと混在して飾っている家もあります。
良い物は受け継ぎ、大切に使いたいという気持ち、娘のために準備した思い入れのある雛人形をその娘にも受け継いでもらえたら嬉しい、という気持ちもとても自然なことに思えます。
一人にひと飾りといっても、現代の住宅事情ではひと家庭に何セットもの雛人形を置くのは難しいですよね。
姉妹の場合、姉は雛人形、妹は市松人形や吊るし雛など、人形の種類を変えて購入するという手段もあります。
おさがりが良いか悪いかは、使う人の気持ち次第なのではないでしょうか。
初節句のお祝いって何をするの?
雛祭りと聞いて真っ先に思い浮かべるのは「雛人形」を飾ること。では初めての節句を迎える家では何か他にすることがあるのでしょうか?
初節句って何をするの?
地域によって風習が違いますが、初節句を迎えるおうちでは両家の祖父母を呼び、雛人形をお披露目し、赤ちゃんを囲んでお祝いする、というのが一般的です。
親戚や身近な人を招待して食事を振舞うこともありますが、最近では大人数の料理を準備するのも大変なので、料亭やホテルなどで会食するおうちも増えています。
雛祭りに食べる料理にはそれぞれ意味合いがあります。
まずは定番の「ちらし寿司」。入っている具の「えび」は長生き、「れんこん」は見通しのよい人生、「豆」は健康でまめに働けるという意味があります。
「菱餅」に使われている色には意味があるって知っていましたか?
となっています。
「ひなあられ」は、昔あった「ひな遊び」という習慣(雛人形を外に連れ出し、野山を見せてあげようという遊び)に基づいています。
ひな遊びの際にごちそうと一緒に持参したお菓子が「ひなあられ」だったそう。菱餅を外で食べられるよう、砕いて作ったとも言われているそうです。
菱餅の3色には草木が芽吹くなど、自然のパワーが宿っているとされ、これをいただくことで病気や災いを追い払い、健やかに成長できるようにという願いも込められています。
ちなみにひなあられって関東ではお砂糖をまぶしたものが一般的ですが、関西では塩やお醤油味が普通なんだそうです。
「はまぐりのお吸い物」に使われるはまぐりは貞節の象徴。二枚貝で対の貝殻しか合わないことから、一夫一妻の願いを込めてお祝いの膳に出されます。
和菓子のイメージがあるひな祭りですが、この時期にデパ地下に行くと、「ひな祭りケーキ」が大盛況!
各洋菓子店もおひな様の乗ったいろんなひな祭りケーキを提供しています。かわいくて、どれも食べたくなりますね。
赤ちゃんと一緒に、雛人形を眺めながら楽しい時間を過ごすのが初節句の過ごし方。
お祝いに来ていただいたお礼として食事を振舞いますので、改めてのお礼は不要です。
ただ、招待できない方からお祝いをいただいた場合はお返しとして「内祝い」をおくります。
片づける時期の注意
お雛様は雛祭りが終わってからも出しっぱなしにしているとお嫁に行くのが遅くなる・・・と言われていますよね。
そう言われると女性としては「早く片付けて!」と焦りがちですが、この言い伝えが広まったのは実は昭和初期の頃。長い雛祭りの伝統の中ではまだ最近のことなのです。
日本で新暦が採用されるまでは、雛祭りは桃や桜が咲く春爛漫の季節の行事でした。今でも旧暦の雛祭り(現在の4月頃)に合わせて桃の節句を祝う地域もあります。
そういった地域では1か月も雛人形を片づけるのが遅いのですが、もちろんその地域の女性がみんな婚期が遅くなるわけではありませんよね。
雛祭りが終わったらなるべく早くしまうのが理想ですが、翌日すぐに!と慌てるようなものでもなく、二十四節気のひとつ「啓蟄(今年は3月6日)」にお雛様をしまうのがよいとも言われています。
「湿気と埃」には気を付けて
時期以外に、雛人形をしまう時に気を付けたいのが「湿気と埃」です。
人形にとって大敵なのがこの二つ。雨の日や夜間に慌ただしく片付けると湿気も一緒に閉じ込めてしまうため、翌年箱から出したら人形にカビやしみができていた・・・なんてことになりかねません。
3月3日が過ぎたら、晴天の続く乾燥した日の昼間に、埃や汚れを払って陰干しし(紫外線も人形の敵です)紙や柔らかい布に包んでしまいましょう。人形用の防虫剤も市販されています。
初節句の女の子に人気のつるし雛を贈りたい!
手作り好きなママさんやおばあちゃんたちの間で人気が高まっているのが「つるし雛」。
ぶら下げるのでスペースをとらない、縁起物のアイテムがかわいいと、生まれて来る赤ちゃんに贈る方が増えているようです。
つるし雛って何?
雛祭りが一般に広まった江戸時代末期において、雛人形は貴族や裕福な商家などでは手に入ったものの、庶民には高価で高嶺の花でした。
そんな中、娘や孫のためにと母親、祖母、叔母などがひとつずつ手作りした人形をつるして飾ったのが始まりと言われています。
静岡県では「雛のつるし飾り」、福岡県では「さげもん」、山形県では「傘福」と呼ばれ、併せて「全国三大吊るし飾り」とも言われています。
筆者は福岡在住なのですが、福岡県の柳川市では「さげもん」と呼ばれるつるし雛が有名です。
もともとは城内の奥女中が着物の残り布で子どものおもちゃや琴爪入れを作ったのが始まりで、次第に女の子の初節句に、子供の健やかな成長を願って縁起の良い小物を手作りし、雛人形とともに下げて楽しむ様になり、今日に至っています。
縁起の良い小物達は、一つ一つ袋ものになって物を入れることができるのが特徴です。
たくさんの人に祝ってもらった女の子にはたくさんの幸せが訪れるといわれており、桃の節句には親族や近所の人など多くの人が訪れたそうです。
ひと針ひと針、子供の幸せを願って作られたさげもん。大人たちの子を想う気持ちが伝わってきますね。きっと一生の宝物になることでしょう。
縁起物の種類「さげもん」
お祝い事では偶数は「割り切れる=縁起が悪い」とされているため、51個の飾りを吊るし、これを一対として雛人形の両側に吊るすのが柳川のしきたりです。
桃(魔除け、延命長寿)、猿(病や災い除け)、羽子板(魔除け、幸せを招き入れる)、這い子人形(赤ちゃんの健やかな成長)、はまぐり(貞節)、金魚(美しく育ってほしい)、三角(無病息災)、鶴(長寿)などなど。ひとつひとつ見ているだけでも飽きません。
「さげもん」の縁起物をさげる順序もあります。
伝統的な手法、しきたりに沿って作られるものですが、もちろん作り手の好みや願いを込め、必ずしもこのやり方でないものも多く存在します。
実際に見てみたい!という方はぜひ柳川で「さげもんめぐり」をしてみてください。
さげもんめぐり
今年は2月11日~4月3日まで、市内の観光施設や商店街などで様々なさげもんを見ることができます。
お雛様に扮した女性や子供たちのパレードが行われる「おひな様始祭」、「流し雛祭」など様々なイベントも行われます。
>>手作りしたい!購入したい!
見ていたら作りたくてうずうずしてきちゃった・・・という方のために。必要な材料がすべて揃ったキットも販売されています。
手芸はちょっと苦手、忙しくてそんな時間はない・・・という方には完成品もあります。
まとめ
生まれてきた赤ちゃんを囲んでみんなで初節句をお祝いすることで、家族の絆が深まりそう。楽しい雛祭りを過ごしてくださいね!